ITエンジニア倍増に向けた提案です!

実業家の成毛(元マイクロソフト日本法人社長)さんが、ご自身のFBで、デジタル大臣へ期待を表明しています。日本のITエンジニアは人口の0.86%、109万人、人口比で全世界32位、これを一気に200万人まで増やそうという提案です。これでようやく欧米並みになるらしいです。そのためには、ITエンジニアの所得を上げて魅力的な職業にする必要があり、それは企業や行政で働くITエンジニアの内製化で可能となると言い切ります。下請け、孫請けで引き受けてきたITエンジニアを内製化することで、結果として、所得は倍増するという考えです。

大賛成です。
神奈川西部を地盤として、イノシシから宇宙まで、日々の暮らしの(鳥獣被害対策)から宇宙利用に関する国際課題まで、デジタルで解決可能な政策テーマを模索する牧島かれん新大臣に期待したいと思います。

そこで、reapleからもITエンジニアを増やすために、外国人材を活用する方策を提案いたします。ここではフィリピンを例にその可能性を示します。

2020年10月の厚生労働省外国人雇用状況によれば、ITエンジニア数は58,395人、国籍別にみると、以下の通りで、フィリピン人は2.1%、わずか1,237人です。外国人労働者として登録しているフィリピン人材は、184,750人で、国籍別にはベトナム、中国に次いで3番目に多いです。つまりフィリピン人労働者のわずか0.7%がITエンジニアということになります。これは、非常に低い数字だと思いませんか。

外国人ITエンジニアの割合は、中国が46%、韓国が14%、フィリピンは2%です。

果たして、フィリピンにはエンジニアが少ないと言えるのでしょうか、そんなことはないはずです。ヒューマンリソシアが昨年7月に行った「世界の大学等におけるIT教育についての独自調査」によれば、フィリピンはIT分野の卒業生が、インド、米国、ロシア、イランに次いで世界5位【注:この調査では中国はカウント不能としています】、
7.7万人/年もいますが、専門的な仕事の機会が少なく、卒業後のキャリア形成が十分できないという問題点があります。
例えば、私たちが活動拠点としているダバオは、フィリピン第3の都市であり多くの優秀な人材を輩出していますが、卒業生の1/3程度しか、専門人材として雇用されない状況です。残りは定職を持たないか、サービス業等の他業種で就職することになります。IT関連学部は、大変な人気学部ですが、大学で体系的に技術を習得しても、専門人材として就職の機会がない場合、将来の高度人材として育成の機会が損なわれます。これを全国的に見れば、毎年数万人規模のIT関連学部の卒業生に専門的な就業機会を提供できる可能性があるということです。フィリピンの賃金は、概して日本の半分から1/3、デフレ基調の日本で働いても彼らにとって日本の給与は魅力的です。とりわけ、ダバオは、戦前には、日本人が2万人も移住していた場所でもあり、親日家が多く、若い人たちも日本へ働くことへのあこがれも強いです。日本で働くITエンジニアとしての可能性は大いにあると思います。

フィリピンエンジニアを活用している企業からは、フィリピン人に求めるのは技術力だけでなく、英語力もあることが評価されています。むしろ、実は、それが日本ではディスアドバンテージとも言えます。下請け、孫請けとして客先で働くエンジニアは、英語力よりむしろ日本語が必要になります。どこでもN2レベル以上の日本語検定能力を求められます。成毛氏の提案のように、内製化が進み、自社開発案件が増えることで、もっとブロークンに片言英語と片言日本語を使って仕事をすることが可能となるはずです。この思い切りがあれば、少しずつ語学のハンデキャップを低くすることができます。更に、海外最新情報の習得や海外市場の展開でも彼らの英語力は生かされるはずです。

ITエンジニア200万人構想、この目標達成のためには、途方もない数のエンジニアが必要でありますが、フィリピンだけでなく、まだまだ日本で働きたい外国人材は多いです。
ここで外国人材を増やす鍵は 、日本語の障壁を、外国人材ともに、工夫して克服することです。もちろん、日本で働く外国人も日本語を勉強いたしますが、日本人も少しだけ勇気を出して英語を使うことで、外国人材と一緒に働くことが可能となります。
DXは、ITの浸透により、人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させます。デジタル技術による変革は組織、社会を変えます。企業の現場に様々な多様性を取り入れることが、本当の意味でのDXにつながるのではないでしょうか。世界各国で英語環境下様々な共通のプラットフォームが構築されていく中、日本のIT人材の中に外国人材が増えていくことも、欧米並みのITインフラの構築に必要な取り組みに思えてなりません。